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大工の馬場さんと「刻み」の話

2011年04月13日

4月13日(水)青空に桜満開

先日もご紹介した大工の馬場さんが作業している、上中里の工房へお邪魔してきました。
桜がきれいでした。

なんじゃもんじゃハウスは無垢材を使い、金物をあまり使わない
「木組み」という方法で建てられます。
すごくざっくり言うと、木材の接合部を凸と凹(「継手」「仕口」などと呼びます)
に細工し、木と木とを組み合わせることで家を建てていく方法です。
このとき、凸と凹の部分を手仕事で刻んでいく木造大工さんの技術が「手刻み」です。

現在は「プレカット」と呼ばれる、工場で加工された木材が多く流通しています。
「木組み」のための細工をプレカットで行うことも出来るようになっていますが、
木の材質や建物の構造などを総合的に判断しながら刻むことができるのは
経験と腕のある大工さんだからこそ、なのだそうです。
とても贅沢なことだと思います。


(それぞれ、クリックで拡大できます)
左はなんじゃもんじゃの傾斜に合わせた建物各部の寸法。
右は見取り図になっていますが、「一〜五」「いろはにほへ」と
木材を組み合わせる箇所に “住所” が振られているのが分かります。

これを元に刻んだ木材が、↓これです。「に五」の箇所だとわかります。

継手の形にはいろいろな種類があって、それぞれに
「追掛け継ぎ」「蟻継ぎ」といった名前がついています。
なんとも、いい感じ。



こうした「刻み」をほどこす前に、「墨付け」という工程があります。
墨で木材に寸法をつけていく作業で、下写真のような道具を使います。


左から、「墨さし」「差し金」「墨つぼ」です。
差し金は “ものさし” です。尺貫法で記されています。

どうやって、使うんでしょうか。
墨付けの様子を見せてもらいました。


「墨さし」は竹製で、先端が細かく割けています。
この、割けた竹の繊維の隙間に墨が入り込み、
筆のような役割を果たしてくれます。
お尻の尖った方は、木材に文字を書きこむとき等に使います。
この墨は、「一生消えない」そうです。たしかに、古い家の梁なんかに残ってます。


見づらいですが、向かって右側の手に握られているのが墨つぼです。
墨つぼには糸車がついていて、墨を染み込ませた糸が引き出されています。
この糸をはじくことで、木材に直線が引かれます。
日本では法隆寺を建てるのにも使われていたくらい、古い技術だそうです。

いよいよ、墨付けした木材を刻んでいきます。
ほぞ穴(継手の凹)を掘る際に電動角鑿(カクノミ)を使ったりもしますが、
仕上げや細工は馬場さんがノミを振るいます。
道具も、決して「銘品!」みたいな気張った物ではないのですが、語ってくれます。


ちなみに馬場さん自身は「刻み」といいます。
「手」で刻むのが普通だから、ですよね。

馬場さんは、18歳の頃から大工さんをしています。
一番多い時では、年間に5軒ほどの家を並行して建てていたそうです。
今よりもひとつひとつの家が大きく、1軒建てるのに1年ほど掛かっていたそうです。

最近では「刻み」を使って建てる家も少なくなり、
(大関商品研究所の仕事もリノベーションが多いので)
この方法で、新築の家を建てるのは実に20年ぶり!
それでも手が自然に動くほど、技が体に染み込んでいるんですね。

「職人さん」というと、気難しいとか厳しいといったイメージがありますが
馬場さんは、おっとりした語り口とニコニコ笑顔。
10年来、別の内装工事の会社を通じて大関さんとお仕事をしてきて
つい1年ほど前から社員に加わりました。
当時、大関商品研究所の大工部門は、馬場さん&大関さん二人きりでした。

大関さんに、
「どうして木組みや刻みといった伝統工法で建てるのか」を訊いてみました。

もちろん、失われつつある大工さんの貴重な技術を活かしたい、
という理由もあるでしょう。
丈夫で長持ちし、みんなが健康に暮らせる家であるための
メリットもたくさんあります。

でも、大関さんの答えは
「馬場さんと一緒に仕事をしたということをカタチにしたい」
でした。

まいったなあ。

人との出会いを大切にする。その人と一緒に何ができるか考える。
そういう仕事が何人分も組み合わさって、積み上がったとき
オンリーワンの、おもしろいものが生まれるのかもしれません。
馬場さんあっての、なんじゃもんじゃハウスなのです。

 

 

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